赤外線を取り扱う企業の紹介

主旨:

 

この企業紹介の目的は、赤外線の研究に関わりのある企業を学生に紹介することです。有力な商品や強みを紹介することで、企業の魅力を伝えていきます。あくまで企業を知るきっかけを作る程度にとどまるかもしれませんが、就職活動や研究活動に役立てていただけたらと思います。

第1回 「株式会社アドバンテスト」

はじめに:

 

企業紹介第1回では株式会社アドバンテストを紹介します。私達の研究室では、研究の一つにテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)を使っています。20138月、アドバンテスト御中からTHz-TDS装置を3週間ほど貸していただきました。実際に使用したところ、測定の精度もスピードも驚くほど良く高性能でした。さらに透過、反射そしてATR測定すべてに対応しているという多機能性や解析用のソフトウェアも非常に使いやすく簡単に必要なデータが解析できるという点も魅力的でした。

どんな会社?:

 

 2011年に同業の米ベリジーを買収し、半導体試験装置の世界最大手メーカーになりました。かつては、DRAM用が中心でしたが、近年はモバイル機器用のプロセッサなどロジック半導体向けが主体になっています。医薬品関連などの新分野開拓にも力を入れている会社です。[1]

参考

[1] 四季報2014

・場所:

本社 100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-2新丸の内センタービル

・事業内容:

半導体・部品テストシステム事業、メカトロニクス関連事業、サービス他

・会社のURL

 

https://www.advantest.com/JP/index.htm

注目の商品:TAS7500シリーズ テラヘルツ分光・イメージング・システム 

 

 TAS7500SPを実際に使った感想を書くことでこの商品を紹介します。ただし、詳しい性能はホームページをご覧ください。ここではユーザ視点で良いと思った点をまとめていきます。外観は次の写真のようになっています。

使ってみてすごい!と思った点が主に2点あります。

 

良かった点①:1波形を取得するのにかかる時間はたったの8ms!測定に時間がかからない!

 機械ステージを動かしてテラヘルツ波をサンプリングするタイプのTHz-TDSは、一つの波形を取得するのに数分かかります。(ただし、一つ一つの波形の再現性は高い。)

 TAS7500シリーズは1波形を取得するのにかかる時間は8msしかかかりません。測定精度を上げるには複数の波形を測定し平均値をとります。たとえば、1024回の平均値をとる場合でも1024×8ms=8.192sしかかかりません。

 いつも8時間くらいかかっていた測定がTAS7500SPなら23時間で終わってしまったのにはとても感動しました。

 

良かった点②:透過・反射・ATR測定すべてに対応している

 通常のTHz-TDSですと透過型に光学系を組んでしまったら、反射型光学系やATR型光学系に組みなおすのは非常に手間がかかります。TAS7500シリーズでは測定試料周辺のモジュールを取り換えるだけで簡単に光学系を取り換えることができました。

 

 最初に載せた写真は透過モジュールをセットした状態です。次の写真はATRモジュールをセットした状態のものです。

モジュールを取り換えるのに特別な手間は要りませんでした。ストッパーを外し、簡単に取り換えることができました。こんなに簡単に光学系を取り換えることができるとはかなり驚きました。

 

 

もちろん上記に上げた2点以外にもセールスポイントはたくさんある商品でした。ここでは特に、ユーザ視点で特に便利だなと思った点を挙げました。解析ソフトウェア使いやすい、レーザーを定期的に自動補正してくれるなどなど随所に工夫が凝らされている装置でした。さらに研究室にTAS7500SPを貸しだしていただいたときに、担当の方の対応がとても親切だったのが印象的でした。

あとがき:

 

テラヘルツ分光器であるTSA7500SPを中心とした記事でしたが、アドバンテストはテラヘルツ関係以外にも半導体試験装置、EB露光装置などさまざまな製品を作っています。HPにはTAS7500シリーズの応用例(薬品の検査など)が開設されていますので、THz-TDSにかかわっている学生がいたらぜひHPで詳細を見てください。